Columnコラム

メディア記事 2020.01.29

第5回マーケティング基本の「き」イマドキのお客様に納得感のある「Price」

30~50万円の「プランニングフィー」を設定アイテム1つ1つの単価を市場価格に近付けて

第5回:イマドキのお客様に納得感のある「Price」

主賓は必ずしもスピーチに耳を傾けてほしいと限らない

今回は、マーケティングの4P(Product・Price・Place・Promotion)のうち、Price(価格)について考えてみたいと思います。
まず、問題提起してみます。あなたの会場の価格設定はお客様に「適正」と納得いただけているでしょうか?中には自信を持って「YES」と答えられる会場あるかもしれませんが、そうでない会場も多いのではないでしょうか?商品価値と価格に対する納得感が薄痛いために、様々なアイテムやクリエーターを持ち込まれているケースも少ないと思います。

お客様に「適性価格」とご納得いただくために、大きく2つの提案があります。1つ目は、商品価値をしっかり説明すること。結婚式は、お客様にとって初めての買い物というケースが大半のため、アイテム1つ1つの額面だけを見て「高い」と思われてしまうのは仕方のないことだと思います。そのため、会場側は商品説明をすることでお客様に価値を理解してもらう努力が不可欠です。

例えば、当日のスナップ撮影も高額と思われがちな商品の1つだと思いますが、パーティーのドキュメンタリーを撮るのは結構、難易度が高いというのも説明すべきポイントでしょう。挙式や披露宴中の演出など、撮り直しのきかない貴重なシーンも多いため、常に最適なアングルを把握しておかなければならない、大切なゲストの邪魔をしないように会場動線を熟知しておく、頻繁に変化する照明演出に対応した撮り方など、求められるスキルが多いです。持込みカメラマンの場合、会場動線を把握していないために、ゲストの邪魔をしてしまうリスクも高まると思います。
こうした商品価値は、全てのアイテムやサービスに備わっているため、しっかり説明する努力が不可欠です。
「高い」と言われることを想定し、納得を得るための値引きを前提とした価格設定にするケースもありますが、結婚式は日用品や家電とは違ってお得感で訴求すべきではないと思います。一生に一度の買い物なので、1つ1つの価値を認めて納得した上で対価をいただく努力が必要だと思います。

WEB上の商品と比べて価格ギャップ10倍は納得されない

2つ目は、プランニングフィーを設定すること。プランナーが打合せを行い、様々な提案につなげるといった仕事への対価は見積りには反映されていませんが、実は、様々なアイテムやサービスに分散して上乗せされているのが一般的です。その結果、1つ1つのアイテム単価が膨らんでしまい、お客様により一層「高い」と感じさせているのではないかと思います。ウエディングプランナーの手間や作業を「プランニングフィー」として別枠で計上することで、1つ1つのアイテム単価を市場価格に近付けることができ、お客様の納得感につながるのではないでしょうか。

例えば、当日のスナップ撮影をとっても、上述のような商品価値だけでは、市場価格とのかい離を説明するのに不十分だと思います。WEB上では、1時間あたりの撮影料金が5000円、さらに100カット分のデータが確約されているといったサービスも出回っています。会場の価格設定が25万円という場合、価値が伝わっていても、アルバムが付いていても「とは言え10倍も高額なんて…」
と思われるのは当然でしょう。こうしたギャップを埋めるには、1つ1つの価格を下げざるを得ません。
一方、1組ごとのニーズに合わせて、ぴったりなアイテムやクリエイターを提案するというプランナーの仕事への対価は、お客様にも違和感を与えないと思います。

プランニングフィーは、海外の相場が結婚式総額の10%前後ということを踏まえ、30万~50万円程度が妥当ではないかと思います。ただし、各ウエディングプランナーの勤続年数やこれまでの担当組数、スキルなどに応じて、例えば新人ウエディングプランナーは10万~20万円など、差をつける必要もあるかもしれません。

プランニングフィー設定でプランナーの責任感も強まる

プランニングフィーの設定は、ウエディングプランナーにとっても「私にはこれだけの価値がある」という自覚が生まれるため、クオリティに対する責任感が芽生え、ひいては顧客満足度につながっていくと思います。

こうしたフィーは、ウエディングプランナーだけでなくサービスキャプテンやフォトグラファー、ヘアメイクなどのパートナースタッフにも設定することができると思います。会場やブライダル企業にとっては、これまで“固定費”という位置付けだったスタッフが利益を生む存在になり、お客様にとっても、アイテムやサービスにインクルーズされているよりも、明朗会計だと感じていただけるのではないでしょうか。
「ブライダルの商品は高額」という悪いイメージが定着することにより、持込みニーズはどんどん高まってしまうと思います。そうした動きへの対策として、様々な禁止事項を設け、持込み規制を強化するのは逆効果です。SNSの影響力や拡散力が強まる昨今、会場や業界に対する悪評が一気に広まってしまうためです。いかにして価格に対する納得感を得るかという努力だけでなく、各アイテムの価格に上乗せされているマージン料率の見直しも必要でしょう。持込みが常態化して全く売上を立てられないよりも、お客様に「適正価格」と納得して選んでいただけるように、パートナー企業にとっても無理のない範囲で設定し直す方が得策だと思います。

WJ76号_第5回
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