Columnコラム

メディア記事 2019.05.17

第2回マーケティング基本の「き」web広告で狙った顧客を「一本釣り」

SNS広告で1組あたり来館コスト3万円以下 セグメンテーション&ターゲティングが鍵

web広告の有効活用で 来館コスト大幅カット

これまでブライダル業界の主な集客手法として根付いてきたのは、ゼクシィを始めとする専門媒体への出稿でしたが、最近は、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告など、web上で企業が特定のターゲットに絞り込んでアプローチする手法も現れています。両者の最大の違いはターゲティングだと思います。魚釣りにたとえると、専門媒体への出稿は広く網を張る
「定置網漁」、web広告は獲物を直接狙う「一本釣り」という見方が当てはまるのではないかと思っています。もちろん、多くの来館を狙うには専門媒体への出稿が不可欠だと思いますが、私はweb広告にもチャレンジすべきだと思います。

当社では、ブライダル企業向けにSNS広告の運用代行も受けていますが、中には、1組あたりの来館コストが3万円を下回った会場もありました。もちろん、ユーザーのアクセス時間帯、検索キーワードなど、様々な切り口で
「ABテスト」を行ったりして、緻密な分析を踏まえて、ターゲットを選定した結果、現れた効果ですが、月間3組でもこの程度までコストを抑えて集客できれば、平均の来館コストは大幅にカットすることができると思います。中でもフェイスブック広告は「ビュースルーコンバージョン」といって、広告から直接のコンバージョンだけでなく、他のサイトを経由した分についても把握できるため、費用対効果も測りやすく、お勧めです。

婚約期間・プランナーとの相性など多様な切り口でセグメント

web広告で大きな鍵を握るのは、どのターゲットにどんな内容を届けるか。マーケティングにおける「セグメンテーション」「ターゲティング」の緻密さが求められます。一般的な企業がweb広告を出稿する場合には、専門企業に運用委託するケースも多いとは思いますが、企業側でも自社のターゲットとしてどういうセグメントが考えられるのか、そのターゲットに向けてどんなアピールが響くのかを押さえておかなければ、魅力的な広告コンテンツも生まれません。

これからweb広告を考えるブライダル企業の方へのお勧めは、お客様を様々な切り口でセグメントしてみることです。その上でピンポイントなターゲットに響く広告内容を考えるというステップが効果的だと思います。例えば、SNS広告の場合、広告を届けるターゲットの年齢は1歳ずつ区切って指定することができますし、婚約6ヵ月目、3ヵ月目といった状況のターゲットや、ウェディング系の情報に対して「いいね!」を押しているターゲットなどに、絞り込んでアプローチすることができます。そのため「32歳と33歳で意識がどう変わるか」などと考えてみるのも有効だと思います。当然、結婚式の集客だけでなく、人材採用を目的とした求人広告においても有効です。SNS広告は企業側で出稿料を決めることもできるため、試験的な広告もしやすいです。例えば、新郎新婦の両親の意見が強いといった感覚を持つ会場であれば、あえて50代をターゲットに両親目線の広告を試すというのもSNS広告ならではのチャレンジだと思います。

実際に来館しているお客様についても、様々な切り口でセグメントしてみましょう。ブライダルフェアなどの予約情報だけでも、住所や年齢などの顧客情報は分かりますので、「今回のフェアタイトルはどのエリア在住の何歳に響いている」といった分析も可能です。また、プランナーの成約率でセグメントすることもできます。例えば「プランナーのAさんは30歳以上のお客様と相性がいい」といったデータを基に、そのプランナーの雰囲気や接客トークなどを分析して何が響いているのか、仮説を立てることもできるでしょう。

 

来館アンケートの質問項目についても、どんな質問をするとどんな顧客属性が見えてくるのか、研究して見直すのも良いと思います。非成約のお客様様についても分析してみることで、成約して頂くためのヒントが見つかるかもしれません。ただし、蓄積した情報はデータベースにすることが重要なポイントです。きちんとまとめておかなければ「宝の持ち腐れ」です。顧客属性をさらに突き詰めて考えて、ペルソナを設定するケースもある
と思いますが、これはターゲティングというよりも、より魅力的な広告コンテンツを生み出すためのツールと位置付けられるのではないでしょうか。ターゲットになり切った上で、どんな写真に憧れるのか、どんなキャッチコピーが響くのかをチームで共有しながら導き出すためには有効だと思
います。
集客戦略において、一定数を確保しようと思えば、マスメディアへの出稿を取りやめるわけにはいかないと思いますが、web広告はピンポイントなターゲットに合わせた、より確度の高いPRが実現します。ブライダル業界では、まだ取り組んでいる企業は少ないように見受けますが、全ての企業に平等に与えられたチャンスなので、チャレンジしない手はないと思います。

WJ73号_第2回
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